Wicle活用事例

コンバージョンを可視化するAIアナリティクス「Wicle」

流入・コンバージョン・来訪頻度をひと目で把握。AIが変化と要因を解析し、ユーザー行動の再現でコンバージョンまでの流れも把握できます。

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広告流入からのCVRを5倍に。Wicleチームが実践したLP改善の裏側

Yoshinari Kawachi
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目次

広告やクリエイティブにはしっかり投資しているのに、「LPのCV率が想定よりも伸びない」「どこを直せばよいか分からない」──そんな悩みを抱えるマーケターの方は多いのではないでしょうか。

実は、私たちWicleチーム自身も、まったく同じ課題に直面していました。 広告からの流入自体は順調に増えているにもかかわらず、LP着地後のCV率が低く、獲得効率が頭打ちになっていたのです。

そこで私たちは、日々業務でも活用しているWicleを使いCV低迷の理由を深掘りしました。 その結果導き出した仮説をもとに、キーメッセージとLP構成を根本から見直したところ、広告流入からのCV率を約5倍に改善することに成功しました(2025年6月と8月の数値比較)。

本記事では、自社プロダクト「Wicle」のLP改善に取り組み、CVRを5倍にまで引き上げた実践事例を紹介します。

広告には投資しているのに、LPで成果が出ないという課題

まず、当時の状況と直面していた課題を整理します。

Wicleチームでは、サービスの認知拡大とリード獲得のためにWeb広告へ注力しており、ターゲット設定やバナーなどのクリエイティブ設計には入念に取り組んでいました。その甲斐あって、広告のKPIは好調で、クリック数(流入数)自体は確保できていました。

しかし、いざLPに着地したユーザーの動きを見ると、期待していたほど無料登録や問い合わせといったコンバージョン(CV)につながっていません。「広告流入からのCV率が想定より低い」という現実は、マーケティング施策全体のROI(投資対効果)を下げる大きなボトルネックとなっていました。

  • 目的:広告流入からのCV率(CVR)を高めたい

  • 背景:広告設計やクリエイティブ改善には取り組み済みで、流入数は増加傾向

  • 課題:LPからのCV率が想定よりも低く、獲得効率が悪い

この状況を打破するため、私たちは自社ツールである「Wicle」を活用し、LP上のユーザー行動を徹底的に分析することにしました。まずは現状のユーザー行動を定量的・定性的に“見える化”することから始めたのです。

ヒートマップとセッションリプレイで、CVしない理由をドリルダウン

最初のステップは、「今のLPでユーザーがどのように行動しているのか」という事実を明らかにすることでした。

ヒートマップでページ全体の傾向を把握

まず、Wicleのヒートマップ機能を用いて、広告流入ユーザーのLP上のクリックやスクロール状況を可視化しました。そこから浮かび上がってきたのは、次のような事実です。

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  • 無料登録ボタンのCTR(クリック率)が 0.32%と非常に低い

  • スクロール率は高く、ページ下部まで読まれているユーザーも多い

  • にもかかわらず、途中で離脱するユーザーが多く、CVに結びついていない

つまり、単純に「見られていない」わけではなく、「中身は見られているが、行動(CV)を起こす動機が生まれていない」状態であることが分かりました。

セッションリプレイと行動比較で「違和感のポイント」を探る

次に、数字の裏にある理由を探るため、CVしたユーザーとCVしなかったユーザーの行動を「セッションリプレイ」で一人ひとり確認していきました。

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  • どのセクションで立ち止まっているのか

  • どのタイミングで離脱しているのか

  • CVしたユーザーは、どの情報を確認したうえでフォームに進んでいるのか

こうした視点で実際の動きを観察していくと、数値だけでは見えなかった「違和感」が少しずつ明確になってきました。

浮かび上がった仮説:「価値訴求が十分に伝わっていない」

ヒートマップでの定量データ、セッションリプレイでの定性的な動き、さらにユーザーの声を統合して分析する中で、私たちの中に一つの強い仮説が生まれました。

「このLPは、私たちが本当に届けたい価値を十分に伝え切れていないのではないか?」

具体的には、以下のような根本的なズレが見えてきたのです。

  • 冒頭のキーメッセージやプロダクト価値が、ターゲットユーザーの課題感と少しズレている

  • LP内で「誰の、どんな課題をどう解決できるのか」というストーリーが弱い

このままボタンの色や配置を変えるような小手先のUI改善を積み重ねても、大きなCVR改善は見込めない。そう判断した私たちは、ターゲットと提供価値の見直しから着手するという大きな決断を下しました。

ターゲットと提供価値の根本的な見直し

まず行ったのは、対象マーケットと提供価値の再定義です。「どの顧客の」「どんな課題を解決したいのか」という原点に立ち返りました。 これを改めて定義し直し、プロダクトロードマップを引き直した上で、LPの軸となる「キーメッセージ」と「プロダクト価値」の変更を決定しました。

数十人のマーケターにインタビュー。20本近いキーメッセージ案を検証

新しいメッセージを決めるにあたり、社内の会議室だけで言葉を完結させることはしませんでした。ここでも重視したのは「顧客の声(定性データ)」です。

具体的には、ターゲット層に近い数十人のマーケターに対してユーザーインタビューを実施しました。用意したコピー案はおよそ20個。これらを実際に見てもらい、「どの言葉に惹かれるか」「どの表現だとイメージが湧かないか」を徹底的にヒアリングしました。

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  • 「この表現だと、全く興味が湧かない」

  • 「この言葉なら、今の自分の業務課題とリンクする」

こうした生々しいフィードバックをもとに、キーメッセージやCVへ誘導するサブコピーをブラッシュアップし、訴求方法を顧客視点へとアジャストしていきました。

LP改善の流れ

最終的にWicleチームが行ったLP改善施策は、以下の3つのステップで実行しました。

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1. キーメッセージの再定義

ターゲットとプロダクト価値の変更に合わせ、キーメッセージを刷新。数十人のマーケターへのインタビューを通じて検証し、最も響く言葉を選定しました。

2. LPの構成・ストーリーの再設計

LP全体の構成も、ユーザーの思考プロセスに合わせて再構築しました。

  1. 冒頭で、ターゲットとなるマーケターの課題を端的に言語化

  2. その課題に対して、Wicleが提供できる価値をシンプルに提示

  3. 各機能を、「どんな課題が解決されるのか」という文脈で紹介

  4. 無料登録や次の一歩が明確になるCTA(行動喚起)を配置

3. 機能・ソリューションページの整備と導線の強化

LP一枚だけで全てを伝えきろうとせず、詳細情報については機能ページ・ソリューションページを新たに作成し、そこへスムーズに誘導できるよう導線を見直しました。

  • 「ヒートマップ」「セッションリプレイ」など機能単位の解説ページ

  • 「マーケター」「プロダクトマネージャー」など職能別のソリューションページ

これにより、興味・関心レベルの異なるユーザーが、それぞれ自分に必要な情報へ迷わずたどり着ける構成へと進化しました。

結果:広告流入からのCVRが5倍に。CV数も大幅増

こうした一連の取り組みの結果、リニューアル後のLPでは次のような成果が得られました。

  • 広告流入からのCV率が約5倍に改善(2025年6月と8月の数値を比較)

  • CV数も大幅に増加し、広告施策全体の獲得効率が向上

  • LPの主要な行動ポイント(無料登録ボタンなど)のCTRも改善

もちろん、一度のリニューアルですべてが完璧になるわけではありません。 しかし、「定量データ(ヒートマップ・数値)」と「定性データ(セッションリプレイ・インタビュー)」を組み合わせて仮説を立て、検証するサイクルを回し続けることで、確実な成果につなげられることを実証できました。

Wicleが支援する「顧客中心」のマーケティング

今回の事例は、私たちが日々提唱している「定量データと定性データから顧客理解を深める」というプロセスを、自社事業で体現した結果と言えます。

Wicleは、ヒートマップやセッションリプレイといった機能を通じて、Webサイト上の「顧客の迷い」「CV課題」を可視化するツールです。そこで見つけた課題に対し、「なぜ?」と問いかけ、顧客の声に耳を傾ける姿勢こそが、マーケティング成果を最大化する鍵となります。

まとめ:ユーザーの迷いをなくすために

LPのCVR改善において、魔法のような裏技はありません。しかし、「正しい手順」は数パターンあると考えています。

  1. 定量分析(ヒートマップなど): 「どこで」「何が」起きているか(事実)を把握する。

  2. 仮説立案: なぜその行動をとったのか(心理)を推測する。

  3. 定性調査(インタビューなど): 顧客の言葉から「刺さる訴求」を見つけ出す。

  4. 改善実行: 根拠のあるメッセージとデザインに落とし込む。

「広告流入はあるのに成果が出ない」と悩んでいるマーケターの方は、ぜひ一度、数字の向こう側にいる「顧客の心理」に目を向けてみてください。 そこに、CVRを劇的に変えるヒントが隠されているはずです。


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