定量×定性で紐解く。データで捉えるユーザーインタビュー

By Yoshinari Kawachi
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目次

プロダクト改善や新機能開発では、ユーザー行動を正確に捉えることが重要です。
ユーザーヒアリング前に行動データを収集・分析することで、インタビューの質は飛躍的に高まります。

本記事では、ヒアリング前の行動分析がもたらす価値と具体的アプローチを紹介します。

1. なぜユーザーインタビュー前に行動分析を行うべきか

1.1 ユーザーヒアリングの精度を高める

ユーザーの記憶と実際の行動には、ギャップがあります。このギャップを埋めるのが、事前の行動分析です。行動データに基づいて質問を設計することで、抽象論にとどまらず、行動データに基づいた改善策を導き出せます。

  • メリット

    • 行動データに基づいた質問設計が可能になる

    • ユーザーの発言と行動のギャップも明確にできる

1.2 仮説検証を効率化する

ヒアリング対象者の選定から、インタビュー結果を裏付ける定量的証拠の取得、さらには機能の不使用理由の深掘りなど、行動データを起点とすることで仮説検証の精度とスピードを両立させます。

  • メリット

    • 行動データに基づき、最適なヒアリング対象を選定できる

    • インタビュー結果を補完する定量的エビデンスを取得できる

    • 「なぜ特定機能を利用しないのか」といった利用状況に沿った問いを深掘りできる

1.3 バイアスを軽減する

ユーザーの発言は、主観や記憶の偏りによって影響を受けることがあります。
意識されていない行動パターンの発見、表面的な回答と本音のギャップの検証、そして事実に基づいた冷静な議論。これこそが、データを活用したヒアリングの価値です。

  • メリット

    • ユーザーが意識していない行動パターンを発見できる

    • 表面的な回答と本音のズレを検証できる

    • 客観的なデータをもとに、事実ベースで議論を展開できる

なぜユーザーヒアリング前に行動分析を行うべきか?

2. ユーザーインタビュー前の行動分析の方法

この章では、ユーザーヒアリングをより効果的にするための行動分析の具体的な手順を解説します。

step1 ユーザーグループの選定

行動データをもとに、ヒアリング対象を適切に分類・選定します。

    • 新規ユーザー、アクティブユーザー、休眠ユーザーの分類

    • 特定機能を頻繁に利用するユーザーと、まったく利用していないユーザーの比較

    • 特定の課題が発生しているユーザー層の抽出

step2 ユーザーの行動パターンの特定

ユーザーがプロダクト内でどのように動いているかを分析し、ヒアリングの仮説を構築します。

    • 頻繁に利用される機能とそうでない機能の特定

    • 離脱しやすいポイントの特定

    • 期待されたフローをたどっていない行動パターン

step3 典型的な利用シナリオの作成

具体的なケースを提示できるように、ユーザーの典型的な利用シナリオを作成します。

    • 「○○の機能を使った後、すぐに離脱していること多い」

    • 「特定ボタンのクリック率が低い一方、他ページの滞在時間は長い」

    • 「Aという機能を使ったユーザーは、Bの機能を使わない傾向がある」

これらのシナリオをベースに質問を設計することで、ヒアリングの精度をさらに高めることができます。

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3. 行動分析を活用したヒアリングの進め方

収集した行動データをもとに、ヒアリングの設計と分析を行う具体的な方法を紹介します。

3.1 ユーザーへの質問の設計

事前の行動データをもとに、質問を具体化します。

  • 利用状況、利用頻度から質問を設計:「この機能を週に3回利用されていますが、使いづらさを感じることはありますか?」

  • 行動の背景を掘り下げる:「この操作の後にすぐ離脱されていますが、不便に感じた点はありますか?」

  • 仮説の検証:「特定ページを長く閲覧したあとアクションを起こさないことが多いですが、迷われていましたか?」

関係性がまだ築けていないユーザーに対しては、行動を特定するような具体的な質問が、不安や警戒心を与えてしまうことがあります。

そのため、「より良いサービスの提供」を目的にユーザー行動をもとにヒアリングしていることを、丁寧に伝えることが大切です。
また、操作回数や離脱箇所などのデータを把握していたとしても、質問の中で数値や具体的な場所をそのまま伝えるのではなく、ユーザーへの配慮を込めた表現に変換することも重要です。

3.2 ユーザーの発言と行動の照合

ヒアリングで得た回答を事前の行動データと照らし合わせて分析します。

  • 「使いやすい」と言っているが、実際には利用頻度が低い → 必要性が低い機能?

  • 「分かりにくい」の声が、特定の機能のみで発生している → 特定の機能向けのチュートリアルが必要?

  • 「面倒」と言われる機能が高頻度で使われている → 利便性よりも価値が上回っている?

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4. まとめ

行動分析を先行させることで、ユーザーヒアリングの質は劇的に向上します。

  • データに基づくアプローチがもたらす具体的効果

    • 仮説の精度が向上する

    • 記憶や主観に依存しない、客観的な分析が可能になる

    • ユーザーの発言と行動のギャップを明確に捉え、真のニーズを把握できる

このアプローチを取り入れることで、プロダクト改善の施策はより実効性を持ち、CX(顧客体験)の質的向上へとつながります。データの力を活かし、真に価値あるプロダクトへの進化を加速させましょう。

Wicleは、プロダクトチームが容易にデータ分析できるよう設計されたプロダクトアナリティクスツールです。
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