Churn Rate(解約率)を下げる。離脱ユーザーの行動データ活用法

By Yoshinari Kawachi
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目次

ビジネスを成長させるには、新規顧客の獲得だけでなく、顧客の維持が不可欠です。特にSaaSやサブスクリプション型のビジネスでは、Churn Rate(解約率)が収益性に大きな影響を及ぼします。

本記事では、Churn Rateの定義や計算方法を解説するとともに、ユーザーの行動データを活用してChurn Rateを下げるための具体策をご紹介します。

Churn Rate(解約率)とは?その重要性

Churn Rate(解約率)の定義と計算方法

Churn Rateとは、一定期間内にプロダクトやサービスを解約したユーザーの割合を示す指標です。
特にSaaSやサブスクリプション型のビジネスでは、ユーザーが継続的にサービスを利用し、売上を積み上げていくことが重要であり、Churn Rateの数値は事業の成長に大きく影響します。

Churn Rateは、特定の期間に解約したユーザー数を、期初の総ユーザー数で割って算出します。ユーザー数は常に変動するため、分母には期初のユーザー数を用いるのが一般的です。
例えば、期初のユーザー数が1,000人で、期間中に50人が解約した場合、Churn Rateは5%となります。

計算式: 期間中の解約ユーザー数 ÷ 期初のユーザー数 × 100(%)

SaaS・サブスクリプションビジネスにおける影響

一般的に、新規ユーザーを獲得するにはコストがかかります。
一方で、顧客を維持できれば、新規ユーザーと同等の売上を継続的に見込むことができます。
そのため、SaaSやサブスクリプション型のビジネスでは、できるだけ顧客を維持し、Churn Rateを低く保つことが重要です。

解約率が高い事業は安定しづらく、市場評価にも悪影響を及ぼします。結果として、投資家やステークホルダーからの信頼を失うリスクも高まります。

ユーザー行動分析の重要性と活用ポイント

ユーザー行動分析とは?

ユーザー行動分析とは、ユーザーがどのようにプロダクトを利用しているかをデータとして可視化し、その行動パターンを分析することです。

行動データをもとに改善すべきポイントを特定し、適切な対策を講じることで、解約リスクの低減につながります。

定量データ(利用率、ログデータ)と定性データ(フィードバック)の活用

行動分析には、数値として把握できる定量データと、ユーザーの声や操作ログなどの定性データの両方が重要です。

定量データには、ログイン頻度、各機能の利用率、滞在時間などがあり、ユーザーの行動傾向を把握するのに役立ちます。
一方、フィードバックの声や操作動画といった定性データを併せて分析することで、ユーザーがどこで迷い、不満や期待を抱いているのかを深く理解できます。

ユーザーの離脱兆候を見極めるデータ指標

ユーザーの離脱兆候を示すデータには、アクティブユーザー数の減少、ログイン率やログイン時間の低下、特定機能の利用率の低下などが挙げられます。

例えば、以前は頻繁にログインしていたユーザーのログイン頻度が下がったり、特定の機能の利用が止まった場合は、解約リスクが高まっているサインと考えられます。。

離脱ユーザーを防ぐ!Churn Rate低減の具体策

ハイタッチ・テックタッチ施策の使い分け

Churn Rateを低減するためのアプローチは、大きく分けて「ハイタッチ」と「テックタッチ」の2種類があります。

それぞれの手法を目的や顧客属性に応じて適切に使い分けることが重要です。

ハイタッチ(対面・個別サポート)の活用例

ハイタッチとは、担当者が顧客ごとに対面(オンライン含む)で個別にサポートを行う手法です。
特に、大手企業やエンタープライズ向けのSaaSプロダクト、導入支援が必要なサービスにおいて有効です。

たとえば、専任のカスタマーサクセスが定期的にミーティングを行い、顧客の課題をヒアリングしながら解決策を提案することで、長期的な関係性を築きやすくなり、解約率の低減にもつながります。

テックタッチ(自動化・デジタルサポート)の活用例

一方、ユーザー数の増加に伴い、スケーラブルなサポート体制が求められる場合には、テックタッチの活用が効果的です。
テックタッチとは、自動化やデジタルサポートを活用したアプローチのことを指します。

たとえば、メールやアプリ内通知で適切な情報を提供したり、オンボーディングプロセスを自動化したりすることで、コストを抑えながら顧客満足度を高めることができます。
顧客満足度が向上すれば、Churn Rateの低減にもつながります。

顧客属性ごとの適切なアプローチ方法

Churn Rateを効果的に低減するには、ユーザー属性に応じた適切なアプローチの選定が欠かせません。
そのためには、属性ごとの利用状況や課題を分析し、それに基づいて戦略を設計する必要があります。

たとえば、利用頻度が高いユーザーにはテックタッチを中心としたデジタルアプローチを行い、利用頻度が低下しているユーザーには個別対応を強化するなど、状況に合わせた適切なフォローを設計することが重要です。

行動データを活用した施策の実施方法

ユーザーの利用率状況をモニタリングし、サポート業務の効率化

ユーザーの利用状況をモニタリングし、ログデータを分析することで、サポートが必要なユーザーを特定できます。
特定したユーザーに対して適切なタイミングでアプローチを行うことで、サポート業務の効率化につながります。

たとえば、一定期間利用がないユーザーに対してリマインドメールを送ることで、本格的な離脱の前に再利用を促すといった対応が可能になります。

利用状況を把握し定例アジェンダの質の向上

ハイタッチにおける定例ミーティングでは、ユーザーの利用データをもとに状況を把握し、適切な議題を設定することが重要です。
利用実績に応じて課題を予測しておくことで、より実践的かつ価値あるサポートが可能になります。

また、利用頻度が低い機能についての説明や、他社の活用事例を紹介するなど、具体的な提案を行うことで、限られた時間の中でもユーザーのエンゲージメントを高めることができます。

まとめ

Churn Rateを低減するには、テックタッチとハイタッチを組み合わせたカスタマーサクセスの実践が有効です。

より効果を高めるためにユーザーの行動ログやアクセスデータを活用し、行動の背景を深く理解することが重要です。

定量データと定性データを適切に組み合わせて分析することで、ユーザーのニーズを把握し、より最適なサポートにつなげることができます。

Wicleの活用で、データ分析を効率化する方法

Wicleは、プロダクトを継続的に利用しているユーザーや、特定の機能を活用している一人ひとりの行動を可視化・分析できるプロダクトアナリティクスツールです。

クリックやスクロールといった個別計測の手間がかかる行動データも、タグ1つで自動的に取得できるため、詳細な分析が簡単に行えます。

Wicleを活用して、効率的にデータを収集・分析し、Churn Rateの低減につなげましょう。

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