部門間のコミュニケーションコストを下げ、リソース配分を最適化。データの可視化で目線が揃い、全員が議論できる環境に
Yoshinari Kawachi
目次
クラウド請求書プラットフォーム「INVOY」を提供するFINUX株式会社は、プロダクトマネージャー(PdM)、アナリスト、エンジニアといった部門間で分析要件の調整に工数がかかり、結果としてイベントログの設計が後回しになってしまう、という課題を抱えていました。
この課題を解決するため、同社はWicleを導入。その結果、分析に関するコミュニケーションコストが削減され、チームがより本質的な議論に時間を集中できるようになりました。
Wicle導入に至るまでのプロセス、現場での具体的な活用方法、そしてチームにもたらされた変化について、同社の谷垣さんと片倉さんにお話を伺いました。
課題・解決策・効果
【課題】
PdM・アナリスト・エンジニアの3者間でのコミュニケーションコストが増大。認識の齟齬があり、PdMの意図した分析ができないこともあった
イベントログなどすぐにチェックしたい分析も、データ構造上アナリストに大きな負荷がかかっていた
開発進行を優先するあまり、分析のためのイベントログ設計が後回しになり、施策のリリース後に分析ができない事態も稀に発生していた
【解決策】
Wicle導入により、PdMが自分のタイミングでデータを確認できる体制に
SQLが不要なユーザー行動分析をWicleに集約し、アナリストやエンジニアの工数を削減
削減したリソースを、より高度な分析や本来の開発業務に集中させられるように
【効果】
仮説検証のプロセスがスムーズになり、コミュニケーションコストが大幅に削減
分析結果がわかりやすく可視化されることで、チーム内の認識のズレがなくなり、施策の評価や次のアクションについての議論が活発に
n1分析から「ユーザーがお気に入り登録で特定機能に直接アクセスしている」というインサイトを発見。UI改善につなげ、他機能の利用率向上とLTV向上に貢献した
イベントログ分析も一苦労。分析要件のすり合わせが負担に
──Wicle導入前のデータ分析の状況と、そこで感じていた課題について教えてください。
谷垣さん: 導入前、データ分析は1名のアナリストに依頼する体制でした。機能企画の段階でPdMがアナリストと分析要件を詰め、それに合わせてエンジニアとイベントログ設計についてすり合わせます。リリース後は、アナリストがSQLを書いてデータを集計しその結果を共有してもらう、という流れが基本でした。
──そのプロセスの中で、特に課題だと感じていたのはどのような点でしたか?
谷垣さん: PdM、アナリスト、エンジニアという三者間でのやり取りに苦労していました。分析要件を詰めるコミュニケーションコストも大きかったですし、こちらが意図したSQLになっておらず、欲しいデータがなかなか出てこないということもありました。
また、PdM側が「このボタンを、どれくらいの人が押したか」というイベントログを見たいだけでも、アナリスト側からするとデータ構造が重く、その集計を回すだけでも大変な作業になってしまう。すぐにデータを確認したい場合でもやり取りが発生してしまい、作業が重くなっていたのが大きな課題でした。
さらに開発が進行していくと、どうしても分析要件のイベントログ設計は後回しになりがちです。リソースが足りない中で分析要件を決めずに進めてしまい、リリースしてから「分析に必要なログが取れていなかった」と気づく、といったこともありました。

(谷垣さん)
決め手は「やるべきことに集中できる」環境。煩雑なプロセスから解放され、本来の業務へ
──Wicleはどのような経緯で知ったのでしょうか?
谷垣さん: 元々当社のマーケティング部門がKARTEを導入しており、そのつながりで「プロダクトの解析ができるツールをリリースするので使ってみませんか」とお声がけいただいたのがきっかけです。
当時は分析プロセスの課題について、ワークフローやテンプレートを工夫するなど仕組みで解決しようとしていて、他の分析ツールを積極的に検討していたわけではありませんでした。
──そのような状況で、Wicleを導入しようと決めた理由は何だったのでしょうか。
谷垣さん: 先ほどお話しした課題を明確に解決できそう、という手応えがあったのが一番です。これまで、機能企画から分析結果を得るまでには、分析要件の定義、イベントログ設計、実装、SQLでの集計、という長いプロセスがありました。
Wicleなら、分析要件さえ決まれば、あとは自分で即座にデータを確認できるようになります。エンジニアはイベントログ設計を気にする必要がなくなり、アナリストも都度の集計作業から解放されます。このスピード感は非常に魅力的でした。
これが実現できれば、エンジニアは本来の機能実装に、アナリストはより複雑で高度な分析に、それぞれがやるべきことにリソースを集中できるようになると考えました。イベントログの設計のような、本来の付加価値を生む作業に付随する定型的な作業から解放され、チーム全体の生産性が上がると確信したのが導入の決め手でしたね。

──導入にあたって、社内への説明で工夫された点はありますか?
谷垣さん: 経営層からは「導入によってどれくらい工数が削減できるのか」「費用対効果は合うのか」といった点が懸念点として上がったため、導入前の煩雑なワークフローと比べWicle導入後にコミュニケーションコストがどれだけ削減されるかを共有しました。また、SQLのような専門知識がなくても誰でも分析結果を共有できるという点も、事業責任者や決裁者にとっては理解しやすかったです。
「ホーム画面は見られていなかった」──n1分析が導いたユーザー理解
──現在のWicleの活用方法について教えてください。
谷垣さん: データベースに保存されている情報の分析、たとえば「過去3ヶ月でINVOYカードを〇〇円以下利用したユーザーが何人いるか」といった全体のボリューム感を把握するような定量分析は、引き続きアナリストが担っています。
一方Wicleは、ユーザーの具体的なアクションを分析する際に活用しています。たとえば、SQLで抽出した特定のユーザーセグメントがサービス内でどのような行動をしているのか、どのボタンをクリックしているのか、といったことを深掘りしたいときに使います。
SQLで定量的な傾向を掴み、その背景にあるユーザーの具体的な行動や課題をWicleのn1分析で明らかにする、という流れで使うことが多いですね。
──Wicleを導入したことで、どのような効果や変化がありましたか?
谷垣さん: まずPdMとして、誰にも頼らず自分のタイミングで気になった数値を確認できるようになったことが大きいですね。想定よりも使われていない機能がひと目で分かったり、施策の効果検証の際にWicleの画面をそのまま共有して「アクセス数がこれだけ伸びた」と説明できるので、非常にスムーズです。
一番の変化は、チームの議論の質が変わったことです。以前はスプレッドシートに並んだ数字だけを報告していましたが、それだと薄いリアクションで終わってしまいがちでした。Wicleだとクリック数の推移などがグラフで分かりやすくビジュアライズされるので、メンバーが変化の実感を持ちやすくなったと思います。
そこから、「この数字が意味することは何だろう?」「次は何をすべきか?」という建設的な議論が自然に生まれるようになりました。デザイナーやエンジニアも含め、チーム全員で同じ画面を見ながら意見を出し合えるようになったのは、大きな進歩だと感じています。

(片倉さん)
──Wicleの活用によって実現した、具体的な成功事例があれば教えていただけますか?
片倉さん: 弊社のサービスには、特定の機能だけを単体で利用されるユーザーが多く、他の機能も併用していただくことが課題でした。この課題を解決するために、当初は「ホーム画面をリッチにすれば、他の機能にも気づいて使ってくれるのではないか」という仮説を立てていました。
しかし、Wicleで該当ユーザーの行動ログを見てみたところ、ユーザーの多くは使いたい機能のページをブラウザの「お気に入り」に登録し、ホーム画面を経由せずに直接アクセスしていたことがわかりました。つまりホーム画面をリッチにしても、効果が出にくい可能性が高かったのです。
そこから方針を変え、ユーザーが必ず通る単一機能のページ上に、他の機能の価値を伝え、誘導するナビゲーションを設置しました。結果、狙い通り他機能への流入が増加し、ユーザーあたりの利用機能数の増加に寄与しました。これは結果的にLTV(顧客生涯価値)の向上にも繋がり、事業成果として評価されています。
チームメンバーが自律的にデータ活用できる組織を目指して
──今後のWicleの活用について、展望をお聞かせください。
片倉さん: 次のステップとしては、デザイナーやエンジニアなど、PdM以外のメンバーが自ら指標を見て、気づきを得られるような状態にしていきたいと考えています。それがチームとしての課題ですね。
また、マーケティングチームからは、LPの分析からサービス利用まで、流入経路別のユーザー行動を一気通貫で追跡したいという要望も出ています。まだ手が回っていない状況ですが、今後取り組んでいきたいテーマですね。

──Wicleというプロダクトに対して、今後期待することはありますか?
谷垣さん: Wicleは、ユーザー単位の行動をすばやく把握できることが使いやすいポイントなので、多機能で複雑にはなってほしくないなと個人的には思っています。複雑になると、どうしても利用頻度の低いメンバーにとって操作のハードルが上がってしまいます。
「ユーザー行動を素早く理解できる」という良さを残しつつ進化してもらえると、さらにチーム全体での活用が進むのではと期待しています。
──最後に、これからWicleの導入を検討している企業に向けて、メッセージをお願いします。
谷垣さん: 導入がとにかく簡単で、タグを設置するだけですぐに始められるのがWicleの大きな魅力です。イベントログの取得もまだできていない企業には、プロダクト分析の第一歩として特におすすめしたいですね。
分析を手軽に、そしてスピーディに始めたいと考えている方々にとって、非常に価値のあるプロダクトだと思います。まずは導入してみて、自分たちのサービスでどのようなデータが取れるかを探ってみるだけでも、多くの発見があるはずです。
